2019年11月1日金曜日

       10月26日 損保9条の会 生保9条の会 合同講演会
    
    9条は平和への誓い
        ~日本と世界にとっての日本国憲法
                      
                      内本 好昭


 
合同講演会は第1部、第2部からなり、第1部の平和のうたごえと朗読には、朗読の会・こだま、国鉄東京合唱団が出演しました。

第2部は西谷 修氏による「戦争化する世界と非戦の思想」と題する講演でした。

講演者 西谷 修氏は東京外国語大学名誉教授。東大法学部を卒業後、都立大フランス文学科修士課程修了、パリ第8大学でフランス文学、思想を研究し、戦争論、世界史論に問題に取組んでいるという、かなり変わった経歴である

講演の主なポイントは、①戦争化する世界とその変質 ②世界における戦争の変化③国民戦争からテロ戦へ④世界戦争の中での日本国憲法第9条の意義、であった。

以下、その概略である。

昔の戦争

例えば日本の戦国時代の戦争は農民が足軽として駆り出されたり田を荒らされたりすることはあったとしても、基本的には武士と武士が戦うものであった。現在の戦争は先の大戦をみるように国家総動員の争いになっている。

30年戦争

1600年代ヨーロッパで起った30年戦争はドイツ領主間の宗教戦争から始まったが、ヨーロッパ各国が介入することによって国際的な戦争となり、その結果封建領主層は没落し、主権国家(プロイセン、オーストリア)が形成されることになる。従ってそれ以降戦争は国家間のものとなっていくと同時に、それまでの刀・槍による個人同士の戦いから火砲(鉄砲)による集団戦になっていく。

核兵器

先の戦争で核兵器が使用され戦争のあり方が変わった。もし核戦争になれば両当事国だけでなく多くの国が甚大な被害を被るから局地戦以外の戦争はできなくなった。核兵器は他国を攻撃するよりも攻撃されないために保有することになる。その典型的な例が北朝鮮であるが、何かの拍子に核のボタンが押される危険性もある。

経済制裁

武器で攻撃しないが経済制裁によって相手国を従わせようすることも戦争の一形態である。追い詰められた国や国民の一部は相手国や国民に対しテロを起こすが、自爆テロの犯人は既に死んでいるので、その背後の組織や国を攻撃対象にするから終わりがない。

トランプ大統領の政策

それまでのアメリカは世界中に700(以前は3,000)の軍事基地を持ちソビエト連邦が崩壊した後は各地の紛争に介入して治めようとしていたが、トランプは紛争には介入せず勝手にやらせてそこに武器を売って儲けようとする。

労働は商品ではない

1944年国際労働機関(ILO)のフィラデルフィア宣言で「労働は商品ではない」とされているが日本では1986年の労働者派遣法が作られ、また職業紹介の拡大を目指して政府への働き掛けから1989年にリクルート事件が起きた。最近では大手就活サイトリクナビによる内定辞退予測の不祥事も明らかになっている。このように労働力(者)が商品のように売買されることが今日では当たり前になっている。

セキュリティー国家

 テロは戦争の一形態である経済制裁から生まれるが、日本もそれに多少は加担しているからテロ防止を口実に国民を監視する体制を築いている。


★ 参加者は358名、あいおい損保からも22名を超え、会場は満席でした。