2017年10月28日土曜日

 総選挙後、改憲の新たな局面に際し「9条改憲NO」の声を草の根から
                 2017年10月27日 九条の会事務局

  憲法と日本の進路に大きな影響を与える総選挙が終わり、自民党は284議席を獲得し、公明党、希望の党、維新の会合わせて改憲勢力が374議席、全議席の8割を超えた一方、安倍改憲に反対する側は、野党分断の攻撃を乗り越え、立憲民主党、共産党、社民党、無所属を合わせて90議席前後を獲得しました。
 もちろん、改憲諸党のなかでも公明党が9条改憲には消極的な態度を示し、維新の会が教育無償化に重点を置くなど改憲原案取りまとめまでには紆余曲折はあるでしょう。しかしそれは、9条の「改正」に対する国民の警戒心への対策にほかならず、改憲勢力の本命はあくまで9条改憲です。しかも安倍首相は「スケジュールありきではない」といいながら、多数の議席を背景に、あくまで18年通常国会での改憲発議、秋の国民投票実施に照準を合わせています。
  一方、9条に自衛隊を書き込むことについては、選挙後の世論調査でみても、設問の仕方に多少の違いはあるにせよ調査媒体によってまったく反対の結果が出ている(「朝日」賛成36%、反対45%、「読売」同49%、39%)ように、安倍9条改憲の危険性が充分に伝わっているとはいえない状況があります。
 九条の会も参加している「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」が提起した3000万人署名の取り組みがいっそうその緊急性を増しています。通常国会での9条改憲発議を阻むために、全国の草の根で、全力で3000万署名に取り組みを強め、改憲勢力が改憲を発議できない状況を作り出そうではありませんか。こうした幅の広い声を結集することで、万一発議が強行された場合にも国民投票でそれを否決する力をつくることができます。
 何よりも3000万署名を軸にきめ細かい対話の運動をすすめましょう。
 九条の会が発行したブックレットやポスターを使って学習会を持ちましょう。

 すべての地域で、新たに選出された地元の国会議員に対し、9条改憲反対のメッセージを伝え、「9条改憲NO」の態度をとるよう訴えましょう。

2017年10月6日金曜日

         総選挙にあたり 9条の会が声明を発表しました  
   
      戦後日本の歴史と憲法の岐路に立って
                   
                                                            2017年10月5日 九条の会
 
 安倍首相は、臨時国会冒頭に解散し総選挙に打って出ました。野党による憲法に基づく再三にわたる臨時国会開催要求を無視しながら森友・加計問題をはじめとする疑惑隠しをはかる憲法破壊の暴挙です。重大なことは、首相が、この総選挙を、政権延命をはかるにとどまらず、安倍政権への批判の高まりのなかで強行のメドが危うくなった憲法「改正」実行のお墨付きを得る好機と位置づけたことです。
  自民党は、選挙の重点公約のひとつに、憲法9条に自衛隊を明記することを中心とする改憲を掲げました。過去に改憲の野望を抱いた首相は少なくありませんが、国民の批判を怖れ選挙戦ではそれを正面から争点にした例はありませんでした。自民党が改憲を旗印に選挙を戦うのは結党以来はじめてのことであり、容易ならぬ事態です。しかも解散直前になって、安倍政治を変えることを標榜して希望の党が旗揚げし、改憲勢力の一翼として登場しました。この結果、たとえ国民の批判を浴びて自公勢力が後退しても、希望の党や日本維新の会などと合わせ改憲勢力が3分の2を占める危険性が高まりました。そうした事態を許すならば、改憲派が2018年通常国会での改憲発議をねらってくることは間違いありません。
   9条への自衛隊明示は、安倍首相の「何も変わらない」という言明に反して、戦後日本が築いてきた「戦争しない国」の転換をもたらすことは明らかです。
  もし9条に自衛隊が明記されることになれば、9条の「武力によらない平和」の理念と真っ向から矛盾する「武力による平和」が明示され、9条の根本的改変が起こることは明らかです。
  また、自衛隊が憲法上認められることで、これまで「自衛隊は9条2項が保持を禁止している『戦力 』ではない」というために政府が積み上げてきた自衛隊の活動を制約する解釈の撤回、さらなる空文化が起こります。しかも、この改憲で合憲とされる自衛隊は、違憲な戦争法によって海外での武力行使を認められた自衛隊なのです。
  安倍首相は、北朝鮮問題での国民の不安を煽って改憲へと誘導していますが、軍事的圧力や9条改憲では北朝鮮問題を解決することはできません。それどころか、逆にアメリカの軍事行動への加担により、朝鮮半島での軍事衝突の危険を増大させることになります。朝鮮半島とアジアの平和は、憲法9条の原則に基づく外交によってこそ、実現できるのです。
  総選挙は、改憲諸党の前進を許し安倍9条改憲に道を開くのか、それとも阻むのかを決める重要な機会です。すべての市民が、戦後日本の「戦争しない国」をつくってきた憲法の役割に改めて思いを致し、安倍改憲を許さないという声を挙げましょう。

 草の根からの対話と宣伝を広げ、「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」の提起する3000万署名の運動を大きく成功させましょう。